中国のNASDAQ・科創版
近年、中国の著しい経済成長を背景に、証券取引所の時価総額が大きく伸びている。
順位を見てみると、2020年米国のNYSEが25.6兆ドルで1位、NASDAQが19.5兆ドルで2位。ここから、中国勢が登場し、3位香港6.7兆ドル、4位上海6.55兆ドルとなっている。東証は6.4兆ドルとなり、中国勢の後塵を拝している。
その中で、いわゆる科創版は、2019年7月に上海証券取引所に創設されたハイテク新興企業向け市場として設立された。
科創版への上場企業は、足下、260社以上に及んでいる。
IPO規制の強化
昨年11月、ジャック・マーが率いるアリババグループの子会社アント・グループの上場が延期され、大々的に報じられた。
もともと科創版は、IPOの手続きを簡素にして始まったが、登録書類の改ざん、不適切な資金の流用、内部統制制度の著しい不備が判明した。
これを受け、中国当局は、科創版におけるIPO審査を厳格化。具体的には、引受会社の審査基準、目論見書審査などが厳しくなった。
規制強化の影響
規制強化を担うのは中国証券監督管理委員会だが、強化以降、科創版上場企業・上場予備軍に対して、抜き打ちのサンプリング調査を実施。
これを受けて科創版への上場申請を取り下げるケースが続発している。
アリババグループ傘下のアントが計画していた370億ドルのIPOが延期され、以後、科創版と創業版への上場申請が100以上取り下げられた。
ハイテク企業はこれまで上場先として科創版を目指してきたが、その動きが香港や創業版へ流れている。
今後の展開
これにより、中国ハイテク新興企業らが科創版を離れていく可能性がある。
一方で、香港証券取引所では、2018年に上場基準を緩和しており、ハイテク企業、IT企業が上場しやすい環境整備を進めている。
結果、香港証券取引所には、2019年のアリババグループのIPOなど大型の上場案件が相次いでいる。
今後、中国企業は、一層、香港市場へ上場する傾向が強まり、中国本土+香港、NYSE+香港といった重複上場も増えていくと考えられる。
0 件のコメント:
コメントを投稿