n次創作動画の勃興
最近、ネット上で、ヒット曲や流行のダンスなどを一般人が歌ってみた、踊ってみたといった動画や、人気漫画の解説動画がユーチューブなどに投稿され、多くの視聴者から視聴されています。
これらは、オリジナルの作品をもとに2次的、3次的にどんどん派生して別の作品が生まれるため「n次創作」と呼ばれています。
n次創作動画の法的リスク
ただし、気をつけないといけない点も指摘されています。
弁護士の中には、「無断で投稿されたn次創作は著作権侵害になる可能性がある」と主張される方もおられるようです。
n次創作動画の一部では、大手サイトが一括して権利管理団体から利用許諾を得ているところもあります。
しかし、経済産業省の調査では、収益を上げている投稿者の4割が原作者に許諾を得ていなかったようです。
背景としては、投稿者の側に、作品を広める手伝いをしているという勝手な思いや、原作者側も、ファンに厳しく対応しずらいというためらいもあるようです。
n次創作動画のマーケットとしてのポテンシャル
それとは逆に、著作権侵害を恐れて、投稿を自粛している潜在的な投稿者もいると見られています。
さきほどの経産省の見立てでは、きちんとルールが整備されれば、市場規模が現在の1兆2千億円から2兆6千億円に増加する可能性もあるようです。
NFTに着目
足下では、n次創作動画と著作権保護を両立しようとする動きが出てきています。
例えば、エイベックスではブロックチェーンを使ったデジタル資産であるNFTを活用することに着目しているようです。
NFTはnon fungible tokenの略のことで、ブロックチェーンを使って、もともとの対象物、それへの変更点などを電子的にトレースできるデータであることが特徴となっています。
例えば、アーティストのダンスやキャラクターをNFTとして販売し、それを購入した者が加工して動画を投稿すると、視聴者から得た収益の一部がもともとの対象物の創作者に還元される仕組みを作れるということです。
エイベックスの担当者は、ブロックチェーンは収益還元方法を作り出す発明と絶賛しています。
今後の課題
ただし、有名キャラを無断で使ったNFTも既に存在が確認されています。
こうした状況を受けて、昨年、業界団体(ジャパン・コンテンツ・ブロックチェーン・イニシアティブ)が結成され、電通、エイベックス、博報堂などが参加しています。
こうした業界団体などが主導して、NFT発行ルールなどが整備されれば、先程の経産省の見立てのように、きちんとした形でマーケット規模が拡大されるかもしれません。
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