おすすめポイント:
- 著者は、アメリカの大学で近代日本文学を学んで、日本にやってきた研究者。
- 1988年初版ですが、自分が購入した2011年時点で68刷されていました!
- 現代の日本人なら小学生ころから、英語を嫌というほど勉強しますし、その結果、それなりのスキルを身につけると思うのですが、経験上、ライティングで一番難しいのは、難しい単語を知っているかどうかよりも、圧倒的に「冠詞」や「前置詞」の使い方だと思います。
- 一定の決り文句や言い回しは書いてるうちに身につきますが、a なのか、theなのか、単数形にすべきなのか、複数形にすべきなのか、はたまた、前置詞はin なのか、to なのか、at なのか、onなのか、 aroundなのか、 未だに考え方が最後の最後のところではよく分かりません。
- 海外勤務をしたときに、同僚の外国人に聞いても、「感覚だ」みたいなことしか教えてくれませんでした。小さい頃から話していて身につけるものなのでしょう(日本語にも外国人に説明し難い用法はあると思います)
- ただ、この本を読んで少しだけ、「英語脳」みたいなものがわかった気になれたのも事実で、それがオススメする理由です。
- おそらく、日本文学を学んだ著者が、日本人の考え方もよくわかった上で、例示を交えて分かりやすく解説してくれているからでしょう。一例を挙げます。
- ① Last night, I ate chicken for dinner.
- ② Last night, I ate a chicken for dinner.
- 食べ物に冠詞は通常つけないと習います。なので、①は意味がよくとおり、「昨晩、晩御飯にチキンを食べた」となりますが、②では、ネイティブが想像するシーンは、「晩御飯に、生の羽の生えた鳥一匹を口に血を滴らせながら、バリバリ野獣のように食べた」となるそうです。なぜ、このようなことになるのか、本書ではきちんと説明されています!
- 最後に、著者は、日本語を学ぶ過程で、以下のような体験をしているようです。
- “私自身はこの二年間、日本語を書く仕事が多かったが、まだそれになれていない。未だにフラストレーションばかり感じている。語彙が限られるし、言い方が自然であるかどうかは、自分の判断力だけでは自信が全然ない。私は、和英大辞典を壁に放り投げて、研究室の窓を開けて「日本語が嫌い!」と叫んだことがある。恐ろしいことに、それは、日本語で叫んだのである。かなり夢中になって、頭がおかしくなっていたので、日本語に関して日本語で不満を言ってしまった。自分からいうのもおかしいが、そういうような精神状態を読者にも薦めたいと思う。英語の勉強でフラストレーションが溜まって、I hate Englishと英語で叫んでしまうくらい、英語の頭脳環境に入ってみてほしい”
- それくらいしないと語学を極めるというのは難しいということなのでしょう。
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