0.ポイント
- とにかく号泣してしまいます!
- 時間の大切さ、人としての生き方を再確認できる、普段日々の生活に忙殺されている人に是非読んでもらいたい!おすすめの一冊。
1.概要
- 主人公:山内咲良(中学〜高校生)。明るく活発で周囲からも認められる女子。しかし、膵臓の病気で余命が短い。もう一人の主人公「僕」(志賀直樹)に、自分が不治の病であることを書いた日記「共病文庫」を見られてしまう。
- もう一人の主人公:「僕」(志賀直樹)。対人関係が苦手。常に小説を読んで過ごす。咲良と出会うまで人と関わりを持とうとしてこなかった。
- 咲良の秘密をしった「僕」は、咲良が死ぬまでにやりたいことに付き合うことになる(旅行、お酒、焼き肉、パフェなど)。
- その過程で、お互いがお互いの良さ(咲良:人と交わることで自分をより輝かせる、僕:自分自身を見つめ尽くし他人の力を借りず、自ら光を放つ)に気づき惹かれ合っていく。
- 余命1年が刻々と過ぎていく中、二人の思考・内省と苦悩は深まっていくが、咲良は突然通り魔に襲われ余命を全うすることなくこの世を去ってしまう。
- 「僕」は自失するも、咲良の家を訪れ、咲良の母親から「共病文庫」を手渡される。
2.見どころ
- とにかくラスト70ページくらいはひたすら泣き続けられます。人間の血が通っている体なら涙が止まらないはず。
- いくつか涙腺崩壊のシーンを紹介します。
- まず、咲良が膵臓の病気ではなく通り魔に襲われて寿命よりも早く死んでしまうシーン(これはジャブ程度)。「彼女が死んだ。甘えていた。この期に及んで僕はまだ甘えていた。彼女に残された一年という時間に甘えていた。・・・少なくとも僕は、誰しもの明日が保証されていないという事実をはきちがえていた。僕は、残り時間の少ない彼女には明日があるものだと当然のように思っていた。まだ時間のある僕の明日は分からないけれど、もう時間のない彼女の明日は約束されていると思っていた。僕は、残り少ない彼女の命だけは世界が甘やかしてくれると信じきっていた。」
- 次に、咲良が共病文庫で「僕」宛に書いたメッセージから。「正直に言うとさ、私は何度も、本当に何度も、君に恋をしているって思ったことあるの。だけどね、私は君と恋人になる気はなかったし、これからだって、なる気はない。もしかしたら恋人しても上手くやっていけたかもしれない。だけどそれを確かめる時間は私達にはないでしょう?それにね、私達の関係をそんなありふれた名前で呼ぶのは嫌なの。」
- メッセージは、咲良がなぜ「僕」に関心をもっていたかの説明に移っていきます。「私は君を、凄い人間だと思っているからね。私とはまるで反対の、凄い人。私は、君に憧れていたの。私が君みたいだったら、もっと誰にも迷惑をかけず、自分の責任で生きられたんじゃないかって。私の魅力は、私の周りにいる誰かがいないと成立しないって。それが私にとっての生きるってこと。だけど君は、君だけは、いつも自分自身だった。私も自分だけの魅力を持ちたかった」
- 「だからあの日、君が帰ったあと、私は泣いたの。君が本気で私を心配してくれた日。君が私に生きててほしいって言ってくれた日。友達とか恋人とか、そういう関わりを必要としない君が、私を選んでくれたんだもん。初めて、私は、私自身として、必要とされているって知ったの。ありがとう。ほんとさー、誰かをこんなに幸せにできるなんて、君は凄い人間だよねー。皆も君の魅力に気付けばいいのに」
- 最後は、キーワード入りで、「死ぬ前に君の爪の垢でも煎じて飲みたいな。でも、そんな有り触れた言葉じゃ駄目だよね。私と君の関係は、そんなどこにでもある言葉で表すのはもったいない。そうだね、私はやっぱり。君の膵臓を食べたい」
- この「君の膵臓を食べたい」という言葉は、「僕」も咲良が死ぬ直前にメールで咲良に送っています。「僕」の方も、人を愛せる、人に愛される咲良を尊敬し、これからは自分も殻に閉じこもらず、少しでも咲良のようになれるように生きていこうと決意し、感謝の意を込めて、「君の膵臓を食べたい」と言ったのです。
- 咲良が共病文庫にメッセージを書いたのは「僕」がメールを送るのより前ですが、図らずとも二人は、お互いがお互いを尊敬し、同じ気持ちを抱き、それを同じ表現で相手に伝えようとしたのです。
- 中高生二人のお互いがお互いを認め人間性を高め合う物語です。是非多くの人に読んで詳細を知って欲しいと思います。
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